翼がね・・

｢空を飛べる翼がほしい。｣そう願いながら眠りに就き、朝起きたら立派な翼が生えていた。問題はその自由に空を飛べそうな翼が　こめかみから生えている　ということだ。

なんて理不尽でナンセンス・・しかし現実は受け止めなければならない。まずこの翼はどうしたら動くのだろう。小刻みにヘッドバッキングをしてみるも惰性の力でバイブレーションするばかり。翼自体が動いている訳ではない。頭のうしろで何かがキレて、脳が熱くなるのを感じ、これは違うと我に返った。

ならばこれではどうだ？全身の筋力を搾りだし、その搾り出した筋力をこめかみに送るイメージで・・そう、ブルース・リーが敵を踏み付けたあとにやるあんな感じでっ！
んおぉぉぉ・・・

ブッ・・

なんでもない。なんでもないってば。ちょっと一人にしてくれ。飢えに苦しむ発展途上国について考えたいんだ。

くそっ・・どうしても動かない。動いてっ！動いてよっ！！そう叫びながら脳内のコックピットをガッシャンガッシャン動かすと、翼はバッサバッサと羽ばたき出した。
やったっ！動いたっ！動いたぞっ！ついに悩める人類に答えを出したぞっ！

これで僕に残された使命は親指を立てて溶鉱炉に降りて行くだけだ。
意味がわかんねぇよ。