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奴からの不在着信。折り返し電話をかけてみた。
「おいおい・・おまえ家からすぐだろうに、着いて無ぇたぁ・・」
「すいませんっ!!すいません・・あの・・緊急事態でして・・」
「ど~したん?」
「あの・・指輪を落としまして・・」
「ソリャータイヘンダー」(『ハエギワ ガ グラデーショーン』横嶺さくら的なトーン)
「すかいらーくの二つ手前の横断歩道のあたりに居ます。バイクが来たのがわかったので電話をかけたんですが・・通りすぎていきました。」
「ああ・・そうかい。んで・・探してるんか。」
「お願いしますっ!!」
「あ・・俺も探すんだ?」
「・・お願いしますっ!!」
「・・とりあえずバイクはここに停めて歩いてくぞ?」

来た道を歩いて100メートルほど戻るとOが携帯片手にかがんでた。
見事な植え込み、草っぱら。

「あ・・すいませんっ!!ここら辺で落としたんです。」
「暗いな・・で・・携帯のライトで照らしてんのか・・」
「はい・・でももう電池がなくて。」

俺も携帯のライトで照らして5分ほど探してみるも、やはり見つからず。

「・・しょうがねぇな・・バイク持ってきてライトで照らすか・・」
「お願いしますっ!!」

結局また100メートル歩いて、すかいらーくの駐車場に停めてたバイクに乗って戻ってきて照らして探すことになった。

「え~と・・ビール飲みながら歩いてて・・それでここらへんで指からスポッ・・と・・キーンッて音がしなかったから、多分この草の中なんです・・・」
「・・・めんどくせぇな・・」

夜中のクソ寒いなか10分ほどバイクのライトで照らしながら探した。(民家脇なのでエンジンは切ったまま。)
結局みつからない。鼻水がズルズル出だす。

「おい・・今探しても見つからねぇよ・・つ~かバッテリー上がるわ。」
「・・・」
「明るくなったら、一緒に探してやっから。」
「お願いしますっ!!」
「まったく・・」

結局朝まですかいらーくでくっちゃべる事にした。
前回の文を読んで、俺のことよく知ってる奴なら多少感じたとは思うが、こいつと俺は何気に何処か似ている。
なにやらいろいろ張りきって考え過ぎて、”ここで考え止めとけばベストなんじゃね~の?”ってところで止められず、結局最後に自分のオリジナルスパイスをブチ込み台無しにするタイプだ。
昔同じ飲食系のバイトで俺がホールで奴が厨房だったのだが、賄い料理を作ってもらった時のこと。

「今日のテーマは”お弁当”で行きましょう。」
「い~よ・・俺勝手に厨房入って自分でカルビクッパ作るから。」
「そういう訳には行きません。”お弁当”を作ります。ていうか厨房に入ってこないで下さい。小鉢にプチシュー3個と生クリームどっぷり入れてください。」
「・・・おまえが食うんか。」

で、やたらと張りきっていろいろ詰め込んで完成させた その”お弁当”を最後になって、なんと冷蔵庫に放り込みやがったんだ。

「おい・・今食わせろよ。」
「そういう訳には行きません。”お弁当”ですから。」
「うん・・だからって何故冷蔵庫に入れる必要がある?」

すると奴は答えた。

「小学校の遠足とか運動会の時の”お弁当”って食べる頃には冷えてるじゃないですかっ!!あれがいいんですよっ!!」

・・・・ちっとも良くね~んですけど。
結局、奴が納得いくまで冷やした弁当を食った俺も俺だが。

とまぁ奴の一つも二つも余計なところをみると、自分のコンプレックスをなんだか再認識するのだ。そうなるとなんだか憎めないので、たまに会うべか、となる訳だ。まぁここで書けないような、奴の危機一髪話は相当おもしろいから毎回楽しませてはくれるのだが。

―――――――

舞台は金曜の話に戻る。
「落としたのはどんな指輪なの?」
「プラチナの指輪っす。」
「大きさは?」
「これと同じくらいっすけど・・」(右手の指輪を見せる)
「・・・下品な指輪だな・・10万くらいか?」
「もうちょい安いっす。8万くらいです。」
「で・・無くした指輪は?」
「もっと上っす。ダイヤが入ってまして・・」

そびえ立つ二本指。
20万かこの阿呆

似てねぇわ。やっぱり。


会う前は「4時くらいまでな」と言っていた俺ではあるが、さすがにこの季節はそんなもんじゃ明るくなりゃしねぇ。結局朝の6時、前日朝から働いてたため5時半頃からテーブルに突っ伏してたOを起こした。
「おい、指輪探しにいくぞ。」

辺りは結構明るくなってた。それでも奴が指差す10メートルの範囲の草むら枯葉帯は結構な範囲だ。



朝になろうがやっぱり寒い。俺はもうクシャミもグシャングシャン止まらない状況で、帰りてぇなと思いながらも、足で草を掻き分けた。まぁ奴は手を泥だらけにしながら一生懸命探してるから帰るわけにもいかなかったんだが。
1時間が過ぎても見つからない。
「ポケットとかに入ってんじゃねぇの~?」(俺ならあり得るから)
「いや~・・入ってないです・・」
「本当に草の中か?」
「だと思うんですけど・・」
「ちょっと再現して、今つけてる指輪草の中に落としてみ。」
「・・はい。」

トコトコ・・パスッ・・

「・・う~む・・その音?じゃぁ今度はそっちの枯葉帯」

トコトコ・・パスッ・・

「・・・微妙ですね。」
「・・あぁ。」

2時間が過ぎた。朝8時。俺も10時から仕事があるから、探せてもあと30分だなとか思いながら奴の指差す範囲をもう一度端から探し出した。

そして・・

「おい・・O」



結局、俺が見つけた。
指輪はまた奴の泥だらけの手に収まった。



「ありがとうございますっ!!よかったっ・・ほんとよかったっ!!」

・・・泣いてんじゃねぇよ、まったく・・・こっちはもう鼻水が止まらねぇよ。

「よかったな・・んじゃ・・帰るぞ俺は。」
「ありがとうございましたっ!!また酒でも飲みましょうっ!!」

「”近々”・・・な。」
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